【完】せんぱい、いただきます。
4月の半ばのある日。
今日まで8連勤。
明日はやっと休み。
そんな少しそわそわした気持ちで制服からスーツへと着替える。
仕事が終わって更衣室でケータイを見ると、メールが届いていた。
「お仕事、お疲れ様です。
メールするの、久しぶりですが、お元気ですか?
お仕事で、無理してませんか?
私は、今年は水曜に全休です。
先輩の所に行きたいのですが、来月とか、ダメですか?」
久しぶりにみた、実紅ちゃんからのメール。
読み終えて、ケータイを閉じる。
急いで家に帰り、部屋に入るとすぐに、電話を掛ける。
4回くらいコールしたあと、
「もしもし」
戸惑うような、緊張しているような彼女の声。
「メール、ありがとう。読んだよ。」
俺の声にホッとしたのか、息が漏れた。
「来月の水曜日、どこか希望休とるけど、いつ来る?」
「あの、わがままなんですけど、火曜日の夜とかに行ったらだめですか?」
予想外にうれしい言葉。
「いいけど、そしたら連休明けがいいから、」
俺たちはお互いのスケジュールを確認して、会う日を決めた。
「それと、ですね。」
とても遠慮がちに彼女が切り出した。