【完】せんぱい、いただきます。
「泣いてるんですか?」
「そんなわけないでしょ。」
私の質問に先輩は答えるけど、
背中を向けたままだ。
「じゃあ、こっち向いてください」
無理やりこっちを向かせようとすると、
先輩は少し抵抗した。
でも、私に根負けしたのか、
こっちをゆっくり振り向く。
少し、目元が赤い。
「玉ねぎ、弱いんですか?」
「そんなわけ、ないじゃん。」
「いつもは、涙でないんですか?」
「いつもメガネかけて切るし」
「じゃあ、今日もメガネかけてから
切れば良かったのに・・・」
「今日は、切っておいたじゃん。」
ああ、そうか。
先輩は私にこの姿を見られたくなくて、
玉ねぎだけ予め切っておいたのか。
そう思ったら、
なんだかおかしくなってしまった。