【完】せんぱい、いただきます。


初恋は小学生の時だった。


彼はいつも一緒にいる男の子だった。


朝、迎えに来てくれて、一緒に学校に行って、

帰りも一緒に帰る。



放課後もお休みの日も一緒だった。



でも、彼は私が誰に告白されても

動揺しなかったし、


何もリアクションしてくれなかった。



何も聞かずにそばにいる、そんな人だった。



だから、なのか。




私は彼に自分の想いを告げることなく

気が付けば彼とは距離ができていた。




そして中学を卒業した。





次に好きな人ができたのは、


高校生になった時だった。




彼は同じ電車に乗る他校生だった。




野球部の彼は、夏になる前に突然、

私に思いを告げた。




私も彼のことが気になっていたし、


彼と付き合うことになった。




しかし、数か月もしないうちに


彼は突然別れを告げてきた。




私は特に彼に未練を感じていなかったし、

すんなりと別れを受け入れた。





二人目の彼は、



「好きじゃなくてもいいから」



という彼に押された形で付き合うことになった。




でも、好きにはなれなかった。




いい人だとは思ったけれど、


彼を「男」として見ることはできなかった。



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