【完】せんぱい、いただきます。


私が「好き」になった二人に

共通点があるかというと、


“男”ということ以外に思い当たらない。





私が黙っていると、先輩は私の方に向き直り、



「そんなに考えなくてもいいでしょ」



と小さくつぶやいて、ウイスキーをやっぱり舐めた。



「先輩のタイプはどんな人ですか?」


私は何気なく聞いた。


「それ、この前言ったでしょ」


先輩はぷいっとテレビの方を向いた。




チンッ



そこでオーブンが呼ぶ。



先輩はドタッっと少し音をたて立ち上がり、

キッチンへ向かう。



そして再び鉄板を引き出す音がして、

続いてグラタン皿を取り出す音がした。



すぐに足音がして両手にグラタンを持った

先輩のシルエットが浮かぶ。



私は急いでドアを開ける。



コトン、と湯気があがるグラタン皿は音を立て、

テーブルに置かれる。




先輩がホワイトソースから

手作りしたらしい。

< 97 / 163 >

この作品をシェア

pagetop