【完】せんぱい、いただきます。
私が「好き」になった二人に
共通点があるかというと、
“男”ということ以外に思い当たらない。
私が黙っていると、先輩は私の方に向き直り、
「そんなに考えなくてもいいでしょ」
と小さくつぶやいて、ウイスキーをやっぱり舐めた。
「先輩のタイプはどんな人ですか?」
私は何気なく聞いた。
「それ、この前言ったでしょ」
先輩はぷいっとテレビの方を向いた。
チンッ
そこでオーブンが呼ぶ。
先輩はドタッっと少し音をたて立ち上がり、
キッチンへ向かう。
そして再び鉄板を引き出す音がして、
続いてグラタン皿を取り出す音がした。
すぐに足音がして両手にグラタンを持った
先輩のシルエットが浮かぶ。
私は急いでドアを開ける。
コトン、と湯気があがるグラタン皿は音を立て、
テーブルに置かれる。
先輩がホワイトソースから
手作りしたらしい。