「ケロケロ♪で行きまっしょい♥」
タイトル未編集
【最悪な誕生日(Am)(ラドミ)】
カチッ、カチッ、カチッ、「6月6日午前0時をお知らせします」「ギャー(>_<)!」とうとう来てしまった・・・「何がって?」「恥をさらすのも情けない気がするが、この際だ!読者に聞いてもらってスッキリするかー!」私、ケロ子は、つい1週間前に彼氏に振られたのであります。しかも1週間後は誕生日だというのに・・・そう!今日6月6日は私の35回目のおめでたい誕生日なのです!まさか独りで迎える誕生日になるとは。私の心を知ってか知らずか、お天気も梅雨に入りあいにくの雨模様。雨音までがAmに聞こえてくる。何だか泣けてくるわ(ToT)

【おてんば娘(C)(ドミソ)】
私、ケロ子は田舎育ち。都会への憧れもあり、大学進学で都会に出てきたのであります。子供の頃はというと、日が暮れるまで野山をかけずり回る、虫や生き物が大好きなおてんば娘でした。虫が好きで、梅雨の6月生まれ、ケロケロとよく喋るから、カエルみたいだという事になり、ケロ子というニックネームになったという訳です。

【武勇伝(F)(ファラド)】
就職先は努力のかいあって希望の会社に入社できたものの、配属先は「営業」。女性で営業マンは想像以上にきつかった。それでも田舎の大自然で培った「根性」で、何回も営業成績No.1を取った。リーマンショックで会社の経営が大変な時も随分貢献してきたと思っている。それなのに、女性が優秀だと出る杭打たれるのだ。日本という国は、まだまだ「男社会」なのだ。

【営業ウーマンの憂鬱(B♭)(シ♭レファ)】
知り合いの他の業界の営業ウーマン達は「ケロ子さんも女の幸せつかんでね。」と言って35歳を機に辞めていった。同期で残っているのは事務員の女子が数名だ。ぢ同じ女性でも事務員より営業の私には風当たりがきつい。やはり営業は特に「男社会」なのだ。そんなこんなで最近仕事に身が入らなくなってきた。早く切り上げて帰る日が多くなった。

【アフターファイブの癒し(G)(ソシレ)】
そんな私に心のオアシスが出来たのだ。仕事帰りに「ペット・ショップ」に寄ることだ。田舎にいる頃、虫や生き物と触れ合うと、ほんとに幸せだった。「獣医さん」を目指そうと考えた事もあったほどだ。こうして色々な動物と触れ合っていると、嫌なことも吹っ飛んだ。自然と元気が湧いてくる。動物には不思議な力があるみたいだ。

【ラブパワー全開(B)(ファ#ラレ)】
彼との出会いはこの「ペット・ショップ」だった。彼も常連さんだった。何となく私のほうから声をかけてみた。何度か会って話をしてみると、彼も田舎育ちで虫や生き物や自然が好きだという共通点がある事が分かった。自然に付き合う様になった。デートといえば、都会の喧騒から離れた山や海が多かった。魚釣りやスキューバダイビングにも行ったりした。虫や生き物の話に詳しい彼と話していると時間がたつのがあっという間に感じられた。子供時代の幸せだった時間がよみがえってくるようだった。「私にはこの人しかいない!」そう思っていた。

【悲劇の1日(Am)(ラドミ)が無限大・・・】
6月6日、誕生日のちょうど1週間前、車で家の前まで送ってもらった。「海外に転勤になった、昇進がかかっている大事な転勤なんだ、ごめん。」そう言われた。「分かった、頑張って。」そう言って別れた。内心では「一緒に来てくれないか。」という言葉を期待していたのに。それでも明日はやってくる。またいつもの日常がやってくるのだ。

【つまらない日常(Gm)(ソシ♭レ)】
取引先の男性社員には「君はまだ営業を続けるのか?このままだと路頭に迷うよ、どうにかしないと。」と言われた。言われなくてもこれから先の事は自分なりに考えてはいるつもりだ。「いちいちうるさい連中だ!もう疲れた~」私は、仕事で煮詰まった時、よく来るのが「公園」だ。都会にはない緑があって落ち着く。しばらくベンチに座ってもの思いにふけっていた。

【不思議な出会い(E)(ミソ#シ)】
どれくらい時間がたっただろうか。気が付くと隣のベンチに1匹の青ガエルがいた。「ケロケロ」と鳴きながら、何故かこちらをじっと見ている。私は自然にそのカエルに話しかけていた。彼との事、仕事の話、気が付くと涙があふれていた。女友達に話そうかとも思ったが、自分の人生の事なのに甘えてしまいそうなので止めていた。でも心はいっぱいいっぱいになっていたのだ。通りすがりの人も不思議そうな顔をしながら見ている。しばらくすると雨が降ってきた。「泣くにはちょうどいいや。」そう思い、思い切り泣いていた。するとどこからか声が聞こえてきた。「大丈夫、大丈夫だよ。」この土砂降りに人などいない。耳を澄まして聞いてみた。すると、それは、な、な、なんと隣のベンチにいるカエルから聞こえてくるではないか!夢かと思い頬をつねってみたが「痛いっ!」それを見ていたカエルが笑いながら喋った。「夢じゃないですよ、あなたは虫や生き物が大好きな心優しい人だから、私達カエルとも会話が出来るんですよ。」「僕はケロ太と言います。1人で悩んでいては良くありません、私の家に遊びに来ませんか?ご招待しますよ。」するとケロ太は、ベンチを降りて公園の茂みに向かってピョンピョンと走り出した。私は吸い込まれる様にケロ太のあとを追った。

【家族と御対面(F)(ファラド)】
どれくらい時間がたっただろう。私の目の前には木と葉っぱで出来た家らしきものがあるではないか。ただ何かがおかしい、と感じた。「そうか、小さくなってるんだ。」自分もカエルと同じ大きさに縮んでいたのだ。「ただいま、友達を連れてきたよ。」ケロ太が扉を開けると、そこには数匹のカエルがいた。「僕の家族です。紹介します、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、妹、の6人家族です。」「えっと、この人は人間界の人だけど生き物好きで優しい人なのに、独りで苦しんでるから放っとけなかったんだ、しばらく泊めてあげる事にしたんだ。」「どうもお世話になります、ケロ子と呼んで下さい。」ケロ子の名前の由来を話すとカエルの家族は大爆笑だった。私も久し振りに心から笑った気がした。家族を詳しく紹介してもらった。おじいちゃん、おばあちゃんは足腰も弱くなっているので、主に家事や軽い畑仕事を担当しているそうだ。お父さん、お母さんは狩り、すなわち食料調達担当。妹はまだ小さいのでおじいちゃんとおばあちゃんが面倒を見ている。ケロ太は、子供の頃面倒を見てくれた、おじいちゃんとおばあちゃんのご恩返しも含めて、将来は「福祉関係の仕事」に就きたいと学校に通っている。ボランティア活動は家族みんなで参加しているらしい。「あんたらは偉いっ!」思わず叫んだ!

【家族のお手伝い(F)(ファラド)】
次の日から、早速お手伝いをする事になった。昔の日本はこんな感じだった。何世代かが同居して助け合って生活していた。田舎育ちの私も祖父や祖母と同居していた。ただその頃の私は、お年寄りがうっとおしくてわざと避けていた。今思うと、あんなに優しくしてくれた祖父や祖母に何の恩返しも出来なかった事が悔やまれて仕方ない。まだ若いのに、しっかりした考えを持ったケロ太に感銘をうけた。「私も何か人の役に立てるだろうか。」ケロ太の家族と一緒に、ボランティア活動に参加してみた。老夫婦のお宅の庭木のお手入れ、車椅子の人と一緒に買い物の付き添い、子供の面倒をみたりと、御近所が助け合って生活していた。「カエルの世界も捨てたもんじゃないなぁ。」と思った。「こんなに人と触れ合ったのは何年ぶりだろう。」何だかホッコリした気持ちになった。急に故郷が恋しくなってきた。「みんな元気だろうか、田舎の風景は変わってしまったのかなぁ。」するとケロ太が「故郷に会いに行こう!」と言い出した。「そんなこと出来るの?」「大丈夫!僕の目をジッと見ていてね。」言われた通りケロ太の目をジッと見つめていた。

【いざ故郷へ(C7)(シ♭ドミ)】
どれくらい時間がたっただろうか。気が付くと私は、なんと、故郷にいた!「一体全体どうなっちゃってるんだ?」横には自慢気な顔をしたケロ太がいた。ただ姿は縮んだままだった。風景は今も全く変わっていなかった。土の香り、稲穂が風に揺れる音、田んぼからはカエルの鳴き声が聞こえてきた。玄関の隙間から家の中にソッと入ってみた。母親が土間で食事の準備をしている最中だった。「おーい飯はまだか?」父親は居間でテレビを見ていた。元気そうで安心した。私はソッと2階に上がり自分の部屋を覗いてみた。昔のままだった。懐かしい虫の標本もまだ置いてあった。動物図鑑も全巻そろっていた。獣医になるための本も何冊か見つかった。私は、しばし時間を忘れて、タイムスリップしたかのように子供時代に戻り夢中になっていた。どれくらい時間がたっただろうか。「もうそろそろ帰らないと。」ケロ太の声で我に返った。そっと居間に降りて仏壇の祖父と祖母の遺影に手を合わせた。「今までありがとう、もう少し都会で頑張ってみるから見守っていて下さい。」そして故郷をあとにした。

【感謝して今を一生懸命生きる(気分はメジャー!)】
気が付くと、ケロ子はいつもと同じ日常にいた。社員の声、鳴り響く電話の音。私が居なかった事を気にする人もいない。ただ私の中で何かが変わった気がする。カエルの家族と出会い何かが変わったのだ。仕事は今も変わらず頑張っている。しかし大きな変化があった。休日に、老人ホームでボランティア活動を始めたのだ。こんな私でも必要としてくれる人がいるだけでうれしくなる。仕事はきついが、会社勤めとは違った清々しさを感じる。そしてもう1つ、獣医の勉強を始めた。野山を駆け回って、好きな虫や生き物と日が暮れるまで夢中になって遊んでいた、子供の頃の夢だった。「何かに夢中になると、自然と良い連鎖が生まれてくるように思う。」余談だが、同じ学生の中に好きな人が出来た。先の事は分からない。ただ言えるのは、「今を一生懸命生きること、それのみだ!」時々思い出したように公園に行く。ベンチに座ってみる。カエルと会うことはなかった。でも大事なことを教えてくれたカエルに「感謝する」「ありがとね。ケロケロ♥」\(^_^)/



< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

「ケロケロ????で行きまっしょい♥」

総文字数/1

恋愛(その他)1ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop