溺甘副社長にひとり占めされてます。


「……あの……えっと……仕事のことで反省を……」


正直にあなたのことを考えていましたなんて言えるはずもなく、私は浮かんできた言葉をとりあえず並べた。


「仕事?」

「……はい……ちょっとミスをしてしまって。その……反省というか……」


こんなことを言ってしまったら、私も白濱副社長から怒られてしまうだろうか。

びくびくしながら言葉を続けると、彼がぽつりと呟いた。


「そっか」


それだけしか言わなかった。

怒るどころか、口元に笑みを浮かべて、優しい眼差しを私に向けてくる。

優しく“元気出して”と言われたような気持ちになり、一瞬で顔が熱くなった。

自分が彼の眼差しに照れていることを気付かされれば、何も言えなくなってしまう。

これまでの人生、男性と必要以上に関わりを持ってこなかった私は、こういう時どう反応を返すのが正解なのかわからない。

この場から走って逃げ出したくなる衝動を必死に耐えていると、私を見つめていた白濱副社長の瞳がすっと細められた。


「うん。それで……本当は、何があったのかな?」


ドキリと、鼓動が高鳴った。まさかのセリフに、頭の中が真っ白になる。


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