溺甘副社長にひとり占めされてます。

だから、これを白濱副社長が飲めば、間接キスになってしまう。

もちろん彼はこの程度のことなどまったく気にしないだろう。

けど、私は違う。

間接キスになってしまうと考えただけで、こんなにも動揺している。

変に意識してしまって、もしかしたら今後、このボトルを今まで通りには使えなくなってしまうかもしれない。


「……えっ……あの、やっぱり、すみません。飲みかけなので……ちょっ!」


言い終えるよりも先に、白濱副社長にボトルを奪われてしまった。

あろうことか、彼はそのままキャップを開け、口をつけた。

思わず「副社長」と呻いてしまったけれど、彼はまったく気にしない。

悪びれる様子もなく。ゴクゴクと飲んでいる。

ちらりと目が合うと、彼がボトルから口を離し、柔らかく目を細めた。


「……うん。美味しい」


私を見つめ、そして指先で唇を拭ってから、ほんのちょっぴり甘さを感じる声で、彼がそう言った。

その様が妙に色っぽくて、私は熱くなった顔をすぐにそらした。


「もう一口!」

「ど、どうぞ」


白濱副社長の顔をちゃんと見れないまま言葉を返すと、彼が苦笑気味に「ありがとう」と囁きかけてきた。


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