溺甘副社長にひとり占めされてます。


「白濱副社長。本当にいただいてしまってもいいのですか?」

「うん。もちろん。なんならそのうちお店に一緒に行こうか。服でもバッグでも、好きなの買ってあげるよ。表参道店の店員さんね、可愛いだけでなく、話し上手な子が多いから、行くだけでも楽しいよ」


にこやかに飛びだしてきた言葉に、つい口元を引きつらせてしまった。


「いいえ。それは結構です。買っていただくような関係ではありませんし。ただ可愛い子と話がしたいのなら、おひとりでどうぞ」


彼がこういうことを言う人だと分かっていたはずなのに、なぜか居た堪れなくなってくる。

発した自分の声は、棘を含んでいた。

それがまるで、嫉妬でもしているかのようで、息苦しさを感じてしまう。

彼を見ていられなくなって、もらったタンブラーへと視線を落とすと、キシッと、私の座っている椅子が鳴った。

手元が陰になり、私はハッと顔をあげる。

デスクに手をつき、そして背もたれにも手を置き、白濱副社長が私のことをじっと見つめていた。


「やだなぁ。俺は店員さんとじゃなくて、美麗ちゃんとデートがしたいの」


私とデートって、言った?

デート!? 私が白濱副社長とデート!?



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