溺甘副社長にひとり占めされてます。

列には、私と同じようにタンブラーを片手に並んでいる人も多く、客席にはモーニングセットを食べながら携帯を眺めたり、新聞を読む人の姿をたくさん見受けられる。

コーヒーが美味しいと評判の人気店なだけに、朝から盛況である。

私は窓際の席に座っている男性に目を留め、あっと小さく呟いた。

黒髪に色白の肌、面長な顔立ちにシルバーフレームの眼鏡が良く似合っている。

品の良いスーツや清潔感ある身だしなみ、切れ長の瞳、綺麗な鼻筋。

若干気難しそうにも見えるけれど、大人の男性の魅力をしっかりと持ち合わせている彼は、このお店の常連客だ。

彼はいつも窓際の最奥の席に座り、コーヒー片手に英字新聞を読んでいて、その姿を遠くから眺めているだけで、仕事がデキる感がひしひしと伝わってくる。

毎朝勝手に、どこの会社で働いているのかなとか、こんな人が上司だったら素敵なのにとか、店を出るまでいろんな妄想をし、楽しませてもらっている。

ふっと思いついた設定に、笑みを浮かべる。

彼が、どこかの会社の副社長なんていう設定も面白いかもしれない。

そして、白濱副社長と知り合いなんだけれど、性格が真逆すぎて合わなくて、実はいがみ合っていたりとか。


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