溺甘副社長にひとり占めされてます。

ただの社員。確かにその通りなのだけれども、嫌味な言い方に、ほんの少しだけ胸がチクリと痛んだ。

私では白濱さんに釣り合わないと、彼が心の中で思っていることが、しっかりと伝わってくる。

いつも宍戸さんに地味すぎると笑われているから、否定的な言葉なんて慣れっこなはずなのに……なぜか、悔しさと悲しさで心がいっぱいになっていく。


「そうだよ。彼女はただの社員」


言葉と共に肩に触れてきた手が、優しい力で私を引き寄せた。

突然のことに足元がよろけてしまい、私は広くて大きな胸へともたれかかる体勢なってしまう。


「ね? 美麗ちゃん」


目と目が合えば、白濱副社長が甘い声で囁きかけてくる。

おまけに至近距離で笑いかけられ、ドキドキが加速する。胸のときめきが止められない。

ただの社員と言いながらも、まるでそうではないような口ぶりで、白濱副社長が私に同意を求めてきたから、武田さんは唖然としてしまっている。

完全に誤解している顔だ。

慌てて彼から身体を離そうとしたけれど、出来なかった。

今度は、白濱副社長が私の腰に手を回してきた。少し強引に引き寄せられてしまう。

咄嗟に白濱副社長の胸元に触れてしまった。


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