溺甘副社長にひとり占めされてます。
「嫌いじゃないかぁ。今はそれでも良いけどさ、いつかは好きって言ってもらいたいなぁ」
好き。彼から飛びだした二文字に、強く鼓動が反応する。
私が白濱副社長のことを好きに?
そんなこと、ありえない。
頭の中ですぐに否定するけれど、その反面、自分の中に白濱副社長に対する温かな……好意と呼べる気持ちがあることに気付かされる。
まさか。好きになんてなるわけない……よね?
自問自答していると、白濱副社長が「美麗ちゃん」と私を呼んだ。
「だったらどうして、一緒に行きたくないのかな?」
真剣な顔で問いかけられ、私は肩の力を抜き、素直に気持ちを打ち明けた。
「白濱副社長と一緒にいると、目立つんです。だから、社の誰かに見られてしまったらすぐに話が広まってしまいますし、同じ課の人の耳に入ったりなんかしたら……からかわれて、大変なんです」
「……そっか。美麗ちゃんの迷惑になるなら、俺は君の傍にいたいと思う気持ちを我慢するべきなのかも」
すっと、白濱副社長の長い指先が、私の頬をなぞった。
彼が触れた部分が、じわりと熱くなっていく。
彼から目がそらせない。
「でも。我慢したくないなぁ。目を光らせていないと、誰かに持って行かれてしまいそうだから」