溺甘副社長にひとり占めされてます。
4章、すべてはあなたで変わる
お昼休みももうすぐ終わろうとしている。
自分の席で、先程コンビニで買った缶コーヒーを飲んでいると、同僚がスマホ片手ににやにやしながら私の席までやって来た。
「ねぇねぇ。すごいの見つけちゃったんだけど」
「なになに?」
缶コーヒーを机上に置き、差し出されたスマホを受け取る。画面へと視線を落とし、ドキリとした。
彼女が私に見せてきたのは、とあるインターネット番組だった。
そして、そこ映っていたのは白濱副社長。にこやかに笑いながら、インタビューを受けている。
「次の質問。しっかり見ててね」
私の肩越しに後ろから身を乗り出して、画面を見ている同僚へと視線を向けると、「画面を見なさい」と言うように私の手元を指さした。
綺麗な女性が、微かに頬を赤く染めながら白濱副社長に質問をした。
『白濱さんはとても素敵な方なので、お付き合いしていらっしゃる方がいるかどうか気にしている女性も数多くいると思いますが……そのあたりは、いかがですか?』
女性の質問に、白濱副社長がくすくすと肩を揺らす。
『付き合っている女性はいませんよ』
『そうなんですか!? では、彼女募集中ってことですか?』
すると、彼は困った顔で首を横に振った。
『いえ。募集はかけてません。いま現在片想い中なので』
『かっ、片想いですか!?』