嘘をつく唇に優しいキスを

うーん、なにがいいだろう。
風船を配るのがイマイチだから質問されてるんだよね。

風船から離れて、子供が好きそうなお菓子の詰め合わせもアリだけど……。
あっ!
よくデパートで見る光景が頭に浮かんだ。

「あの、風船ならバルーンアートとかはどうですか?それだったら飛んでいく心配はないと思いますし、犬とか剣とか作ったら子供たちは喜んでくれるんじゃないかなと」

「なるほど、バルーンアートか。いいな」

「でも、それを俺らが作るってことですよね」

「そうだな。町田、頑張って練習しろよ」

「えっ、俺がですか?」

「当たり前だろ。お前がやらなくて誰がやるっていうんだ」

「そりゃそうですけど……」

今泉部長に指名された町田さんは不満そうに口を尖らせる。

どうやら私の提案したバルーンアートで話が進んでいるみたいだ。
役に立ててよかった。
軽く頭を下げ会議室を出ようとしたら、なぜか呼び止められた。

「ちょっと麻里奈ちゃん!言いだしっぺだから君にも手伝ってもらうから」

「えっ!?」

町田さんに言われ、ギョッとしながら振り返る。
聞かれたから答えただけで、まさかそれが自分に降りかかってくるとは思ってもいなかった。

「えっ、じゃないよ。一緒に練習して頑張ろう」

町田さんが満面の笑みでブイサインを作る。
いやいやいや……、そんな笑顔で言われても困るんですけど。
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