嘘をつく唇に優しいキスを
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イベントを一週間後に控えた土曜日。
私は唯香ちゃんと、前から行きたかった韓国料理のお店で晩ご飯を食べた。
チースフォンデュダッカルビがめちゃくちゃ美味しくて絶品だった。
お酒も飲んだけど、ここでは一杯だけで我慢した。
なぜなら、食事の後に唯香ちゃんの彼氏がオーナーをしている『ダークムーン』というバーに行くからだ。
ひとりでバーに行く勇気がなく、いつか予定が合えば一緒に行きたいなと思っていたんだ。
夕方から待ち合わせをして十八時から晩ご飯を食べていたから、少し早い時間にバーに着いた。
お客さんはまだ来てなくて、私と唯香ちゃんだけだった。
お酒を飲みながら世間話をしていて、唯香ちゃんがふと思い出したかのように言う。
「そういえば、あの片想いの彼は?」
「あー、もう諦めた。というか、必死に諦めようとしてるところ」
モスコミュールをひと口飲み、ため息をつく。
「そっか。彼女がいたんだよね」
唯香ちゃんは申し訳なさそうに肩をすくめる。
「うん……。未練たらしく片想いしてたけど、この前の飲み会で結婚話とか出ていたから」
「えっ?その人結婚するの?」
驚きの声を出す。
「あ、いや、直接結婚するとは言ってなかったんだけどね。飲み会で新庄くんが結婚する時は社長に挨拶をお願いするとか言ってたのが聞こえたの」
あの時の衝撃は今も忘れられない。