嘘をつく唇に優しいキスを
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イベント当日。
いつもより早起きして家を出た。

秋空が広がり、天候にも恵まれイベント日和だ。
朝から会社の中庭にテントを張ったり、テーブルや物販の為の園芸用品を運んだり準備に追われていた。

前日も準備のために残業して疲れはたまっているけど、そんなことは言っていられない。

私は手に軍手をはめ、植木鉢を所定の位置に運んだりしていた。
これが地味に大変なんだ。
大小さまざまな植木鉢を運ぶんだけど、花を植えている植木鉢だから土も入っているので重たいのなんのって。

普段、重たい物を持ったりしない私には重労働。
絶対に明日は腕が筋肉痛になりそうだ。

それが終わると、今度は自分のブースの準備に取り掛かる。
テントの下で私は必死にハンドポンプで風船をふくらませ剣を作っていた。

あれから練習してかなり上手になった、と思う。
風船を割らずに扱えるようになったし。

本当は子供たちからなにかリクエストを言ってもらって作りたかったんだけど、無理難題を言われた時「出来ません」なんてことになったら困るので、剣か犬のどちらかを選んでもらうことにした。

あとは、プラスチックの棒をつけた飛ばない風船を用意した。
子供たち、喜んでくれるといいなと思いながら作業を進めていく。

イベント開始時間になると、前もって広告を出していたお陰でお客さんはたくさん来場してくれているみたいだった。
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