笑顔をくれた駅員さん
「なあ、奏人!俺、カフェやるんならメイド喫茶とかしてみたいんだけど!男もメイドの格好すんだよ。絶対盛り上がると思わねえ?」
1人の男子が言った。
クラスが笑いに包まれる。
「あはははは!やだ~!男子すね毛剃ってきてよね~」
「よし、じゃあ俺スカートの下は何も履かねえぞ」
そ、それは別の意味で問題があるんじゃ…
でも男子がメイドの格好をするのか…
確かに盛り上がりそう。
「じゃあそれで賛成の人は手を挙げて?」
奏人くんの呼びかけに賛成派が手を挙げる。
え、嘘。
全員賛成なの?
ここまでクラスが団結してしまうとは。
奏人くんのおかげだね。
私はちらっと奏人んの方を見た。
ちょうど奏人くんも私の視線に気づいてこちらを見た。
「あ、ありがとう…」
私は奏人くんにお礼を言った。
「いいえっ!俺、いつでも協力するから。困ったらすぐ言えよな?」
「う、うんっ」
奏人くんはやっぱり優しいな。
奏人くんと一緒ならこの文化祭が成功するように思えてきた。
そう思いながら私は席に戻った。
その時、奏人くんが私の後ろ姿をずっと見つめているとは知らずに。