笑顔をくれた駅員さん
連れてこられたのは、体育館裏。
少しの沈黙の後、口を開いたのは南原さんだった。
「あんた、昨日奏斗くんとファミレスに行ったんだってね?」
「う、うん…」
恐怖で声が裏返る。
「私との約束。覚えてなかったわけ?」
「あ、あの時は…。私の悩み相談をしてくれていただけで…」
恋愛目的で近づいたのではない、と言い終わる前に
「あんたの目的なんて知らないわよ!
私より奏斗くんと仲良くするなんて許さないから!!」
「そ、そんなこと言われても…」
そんなこと私に言わずに本人に言ったらいいのに。
なんで私に言うの。
心の中に黒いドロドロした感情が流れてきて、私は本音をぶつけそうになった。
「私の忠告を無視したんだから。どうなっても知らないわよ。もう二度と奏斗くんに近づかないで」
南原さんはそう言ってきびすを返して教室へ戻って行った。