笑顔をくれた駅員さん
もちろん、優衣には駅員さんの事を話している。
優衣に脅されてゆでダコになりながら答えた。
『そっかぁ~!!莉子も恋する乙女じゃん!応援してる!』
素直にうれしかった。
でも、脅されてちょっとムッとしていたのは、内緒。
「優衣、今日ね、駅員さんに会える日なんだぁ」
「そうなの!?一途だねぇ~!頑張ってよ!」
「ありがと」
その後、2人でお互いの好きな人を好きになったきっかけを告白した。
「私ね、入学してすぐのとき女の先輩に絡まれたのね。
ほら、私髪の色は明るいしスカート短いし」
うん。そこは否定しないよ。
一見ギャルだからね。
「そこで私のことかばってくれたのが奏斗くんだったんだ
『入学したての下級生に絡むっておかしくないですか?』って!!
それはそれはかっこよかったよ~?もう寝れないくらい!」
「そうなんだ。じゃあ優衣も好きな人はじぶのヒーローなんだね」
「アハハ!ヒーロー…ね。ふふっそうかも。莉子は?」
「私は、自分で自分が嫌になった時、駅のホームで泣いてたの。
そのときに、人の気持ちも知らないでペットボトル顔に押し付けてきてさあ。キラキラした笑顔で励ましてくれたの。最初はなんだよこいつ。って思ったけどね」
「アハハ!それはなるね」
「でしょ?…でもさあ、めちゃめちゃ救われたんだよね。相談にちゃんと乗ってくれるし頼れる。駅員さんの言うことは正しい。いつも私を正解に導いてくれる人なんだよ。そんなヒーローがいつの間にか好きになってた。」
優衣はそっと微笑んで「そっか。お互い頑張ろうね」って言ってくれた。
この日の昼休みは、いつもの昼休みよりも友情が深まった昼休みだった。