笑顔をくれた駅員さん
ドキドキ
時刻は13時45分。
私は15分も前に駅に着いてしまった…
張り切ってるって思われそうだな…
あそこの雑貨屋さんで時間を潰したほうがいいかも…
ソワソワしながら思考をグルグル巡らせる。
1人であたふたしていると、いきなり誰かに肩を叩かれた。
ビックリして振り返ると、そこには勤務中じゃない、プライベートの駅員さんが立っていた。
「ごめん!待った?」
グレーのコートに白いニットとジーパンを履き無造作にセットされた髪の毛。
誰よりもかっこよくてしばらく見とれていた。
「ねぇねぇ、あの人かっこよくない?」
近くで駅員さんの事を話している女の人の会話が聞こえてくる。
だけど、当の本人はそれに気づいていない。
「…?莉子ちゃん?」
「…えっ!?あっ!ごんにちは!」
いきなり話しかけられて上手く舌が回らない。
「アハハ!こんにちは。待っちゃった…?」
「ううん!全然!待ってないです!」
「よかった~」
ふわっと笑う駅員さん。
いつもなら駅員さんの笑顔でホットするんだけど
見慣れていない私服姿に あぁ、これからお出かけなんだって実感が湧いてきて緊張で全身がかちこちだ。