笑顔をくれた駅員さん
プリントのホッチキス止めが終わったので担任に届けに行った。
「おぉ、橘は真面目だな。助かるよ。」
ニコニコ笑いながらプリントの束を受け取る担任。
この人は、悩みなんてないんだろうな。
いつもニコニコしていて、生徒からも好かれていて私とは大反対だ。
「なんだ、橘。顔が怖いぞ。」
いつの間にか険しい顔になっていたようだ。
「いえ、失礼します。さよなら。」
職員室のドアを開けようとしたときに、
「ニコニコしてないと、友達が離れていくぞー?」
私の中で抑えていた物がブチッとキレる音がした。
1番言われたくない言葉をかけられたから。
そんなの私だってとっくにわかってる。
わかってるけど、また小学校のときみたいにいじめられるんじゃないかって思ったら
怖くて怖くて笑えないんだ。
「あ。おい、橘!?」
担任を無視して職員室を出た。
駅まで溢れそうになる涙を我慢しながら走った。