御曹司と恋のかけひき

22話

住んでいたアパートが襲われ1週間、
季節は夏、8月も中頃になっていた。

生活は快適で、すっかりなじんでしまっている。

部屋は住んでいたアパートと同じ6畳だが、
2畳ほどのクローゼットがあるため、ずっと広く感じてしまう。

家賃も入れると言ったが、受け取ってもらえず、
それどころか、洋服や鞄の代金もいらないと言われてしまった。

「このままじゃ駄目だよね」

何となく付き合うのではなく、ちゃんと好きか考えると決めたのだ。

今日は土曜日、両親と直哉さんと私、4人で朝食を食べる、
藤沢家の朝食は和食な為、私も合わせている。

ただ、スムージーだけは追加で作ってもらっていると、
お母さんか興味を持ち飲み始め、お腹の調子が良いと聞いたお父さんも飲み、
今では全員が飲むようになっていた。

朝食を食べ始めた頃、口を開く。

「あの、家を出ようと思うのですが」

3人は一斉に驚いた顔をした。

「家出するって?直哉、何をしたの?」お母さんが、叫んでいる。

直哉さんは、手を組み、完全にうなだれている。

「直哉は自分の思い通りにする事があるから、嫌気がさしちゃったの?」

お母さんの言葉に、京子さんの意見が合っていたんだと、認識する。

「そうじゃないんです、アパートが襲われて、そのまま転がりこんでしまって、
まだ結婚もしてないのに、このまま住む訳にはいかないと」

お母さんは、そんな事?と言った顔をしている。

「ずっとここに、いてくれていいんだよ」

お父さんが言いい、直哉さんも私の手を取る。

「どこにも行かないで」

真剣に告げられ、困ってしまう。

でもと言いよどむと、

「とにかく、そうゆう理由なら、今まで通り家にいてくれていいんだよ、
辛い事や不便な事があれば、遠慮なく言って欲しい」

お父さんに説得され、それ以上何も言えなくなってしまった。
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