御曹司と恋のかけひき

23話

朝食後、カーテンとシーツを変えてみたら、
自分の部屋という感じがするのではと、
お母さんから提案され、直哉さんと買いに行く事になった。

お母さんの意見に賛成した訳ではないが、布団のシーツは裕美さんの物、
そのまま使うのも申し訳ないと思い、買う事にした。

買い物のついでに、クッキーの材料も買い、お礼に作る事にした。
クッキーは唯一作れるお菓子で、気持ちだけでもと思ったのだ。

10時に買い出しに出かけ、2時に帰宅。
それからクッキーを作り始め、3時半に出来上がった。

「お口に合えばいいのですが」

そう言って、両親と直哉さんにクッキーを勧める。

「すごく美味しいよ」とお父さん、

「やっぱり市販の物とは味が違うのね」
とお母さんもクッキーを口にする。

直哉さんは、なぜかクッキーを手にじっとしている。

「どうしたの?」

「いや、手作りっていいなって」

「食べてみて」

そう言って、自分もクッキーを手にする。

クッキーを食べていると、直哉さんがゆっくり食べ始めた。

どお?と直哉さんを覗き込む。

「感動した」

ぽつりと、呟く。

感動?思いがけない感想にびっくりするも、
その後、2個、3個と食べる直哉さんを見ていた。
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