御曹司と恋のかけひき

5話

お台場では、少しショッピングをして、ドライブを楽しんだ、
もちろん、お約束の観覧車にも乗っている。

ショッピングでは、服は会社関連の服(社販がきく)を購入する為、
見て楽しむだけ。

3時ぐらいに寄った紅茶専門店では、私が支払った為、
少し困った顔をしていた。

「デートなんだし、少しぐらいプレゼントさせて」

拗ねたような声がかかる。

くすくす笑いながら。

「お昼はごちそうしてもらいましたから」

先ほど、ジュエリーショップでネックレスが気に入りながら、
値段が高く購入をあきらめたのが、気になるらしい。

藤沢さんは、買ってあげるよと言われたが、やんわりと断り店を出た。

人によっては、高級品を買ってもらい、自慢したい人もいるかもしれないが、
私は到底そんな気分にはなれなかった。

むしろ、別れたとき、思い出の品が残ってしまい、
高級品だけに、処分したくても、
なかなかできないとう問題を抱えそうで困ってしまう。

楽しい時間はあっという間で、5時になっていた。

「帰り遅くなっても大丈夫?」

「明日も休みですし、大丈夫ですが」

「良かった、だったら夕飯も一緒に食べよう、観覧車も夜になってから、
もう一度乗りたいんだ」

「わかりました」

すると、ため息が聞こえる。

「もっと、くだけた話し方してくれていいんだよ。彼女なんだから」

「わかりました」

と答えて、はっとなる。

「えっと、わかったわ?」

「そうそう、そんな感じ」

「手つないでも?」

こくりとうなずいて、肯定する。

するりと、右手が大きな手に絡められた。

手をつなぐなんて何年ぶりだろう、大学2年の時、
別れた彼氏とつないでいて、それぶりかな?

少しこそばゆい気持ちになりながら、不思議と安堵感を覚えていた。
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