御曹司と恋のかけひき

8話

6回目のデート。

いつも穏やかな表情をしている藤沢さんが、
珍しく、少し緊張というかかしこまった表情で声をかけてきた。

「今度、我が社が主催するパーティがあるんだ」

「ええ」

入社して1年ちょっとの社員に、パーティなどお呼びではなく、
パーティがある事自体知らなかった。

「一緒に行ってくれないか?」

「えっと、パートナーって事?」

「そう」

「私、パーティとか行った事ないわよ?」

「フォローもサポートもするよ、ドレスも心配しなくていい」

心の中でうーんと迷う、
パーティ、興味はあるが、会社関連なら、
何かあったら藤沢さんに迷惑かけるのでは?

しばらく返答をしないでいると少し強めの声かかかった。

「お願いするよ」

真剣な表情で頼まれ、彼女だしね、と折れた。

「分かったわ、ドレスお願いね?」

あえて、軽い感じで返すと、ほっとした表情になり。

「ドレスも靴もバッグも全部用意しておく、
当日はヘアメイクの人もいるから、何も心配ないよ」

何から何まで用意される事に、逆に不安を覚えたが、
これも御曹司と付き合って得れる経験よね、と軽く考え、
パーティに行く事にしたのだった。
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