きんもくせい。


私はなにがなんだかわからず、夕焼けが差し込む、教室に一人取り残された状態。


今まで、何度も先生と二人きりの教室で反省文を書いてきたが、あんなことを言われたのは初めてだった。


なんだったんだろう。


カエルの鳴き声が聞こえ始めた梅雨のこの時期。


湿気が体にまとわりついているからなのか、それとも……。


もやもやしたまま、カラオケに行かなければいけないということもあって、私は急いで荷物をまとめ、教室を後にした__________。















「あー!きたきた、あかねー!まってたよ!」



カラオケの扉を開けた瞬間、クラスの見慣れた連中がいて、私は速攻マイクを渡される。


私はそれを素直に受け取り、荷物をそこら辺のソファーに放り投げた。


そして私はいつもの調子で、さらに盛り上げる。


こんな毎日がずっと続けばいい。


そう思ってた。


”楽しい”しかないこんな毎日がずっとずっと続けばいいと思ってた。


だけど、それは何の前触れもなくいきなりやってきたんだ______。













「前かさ、いいなって思ってた。俺と付き合ってくれませんか?」



いつものお昼休み。


クラスの中の仲のいいグループの1人に突然、誰もいない体育館裏に呼び出され、こんなことを言われる。


もう、わかってるとは思うが今私は告白されている。


容姿は悪くない…どころか、万人ウケするイケメン。


性格もギャクセン高めだし、一緒にいて楽しいし、私としては有り。


なんだけど……



「正樹(まさき)さ、彼女いるよね?」



そう。


こいつには、彼女がいる。


しかも、そのこと私仲良いし。


わりといつも一緒にいるし。



「ああ…別れた」



だけど、帰ってきた言葉は予想していたものではなくて、



「……お前のこと好きになったから、別れた」



そういって、正樹は恥ずかしげに下を向き、頭をかいた。









< 2 / 2 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop