きんもくせい。
私はなにがなんだかわからず、夕焼けが差し込む、教室に一人取り残された状態。
今まで、何度も先生と二人きりの教室で反省文を書いてきたが、あんなことを言われたのは初めてだった。
なんだったんだろう。
カエルの鳴き声が聞こえ始めた梅雨のこの時期。
湿気が体にまとわりついているからなのか、それとも……。
もやもやしたまま、カラオケに行かなければいけないということもあって、私は急いで荷物をまとめ、教室を後にした__________。
「あー!きたきた、あかねー!まってたよ!」
カラオケの扉を開けた瞬間、クラスの見慣れた連中がいて、私は速攻マイクを渡される。
私はそれを素直に受け取り、荷物をそこら辺のソファーに放り投げた。
そして私はいつもの調子で、さらに盛り上げる。
こんな毎日がずっと続けばいい。
そう思ってた。
”楽しい”しかないこんな毎日がずっとずっと続けばいいと思ってた。
だけど、それは何の前触れもなくいきなりやってきたんだ______。
「前かさ、いいなって思ってた。俺と付き合ってくれませんか?」
いつものお昼休み。
クラスの中の仲のいいグループの1人に突然、誰もいない体育館裏に呼び出され、こんなことを言われる。
もう、わかってるとは思うが今私は告白されている。
容姿は悪くない…どころか、万人ウケするイケメン。
性格もギャクセン高めだし、一緒にいて楽しいし、私としては有り。
なんだけど……
「正樹(まさき)さ、彼女いるよね?」
そう。
こいつには、彼女がいる。
しかも、そのこと私仲良いし。
わりといつも一緒にいるし。
「ああ…別れた」
だけど、帰ってきた言葉は予想していたものではなくて、
「……お前のこと好きになったから、別れた」
そういって、正樹は恥ずかしげに下を向き、頭をかいた。