好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
1 いつもの朝
「あ、黎!」
「おはよう、真紅」
真紅が母の紅亜と、叔母の紅緒とともに住んでいる古民家の朝に訪ねて来た黎に、真紅は駆け寄った。
「おはよう。今日は?」
真紅が並ぶと、二人はなんとなく庭の方へ歩く。
「両方」
「忙しいね……あの、
「それは言うな。俺が来たくて来てるんだ」
真紅の言を、聞く前に黎は封じた。
『何度でも、逢いに行くから』と言った黎は、毎朝古民家にやってくる。
真紅と少し話をして、そのまま大学へ行ったり、休講のときは病院へ行く。
本当に毎日来てくれるので、黎が無理をしていないか心配になる真紅なのだが……。
そっと見上げると、黎はふわっと笑った。
「俺より、真紅の方が心配だ。紅緒様の修業は厳しくないか?」
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