好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「逆を言えば三人とも、馨さんの言うことだけは聞いていた。
今は誠さんが大分落ち着いたけど、常識人だったから、馨さん」
「……なんか、大変さがよくわかるよ……」
「家の人たちは馨さんのことは、弥生さんの同級生程度でしか知らない」
「じゃあ……本当に母さんやとうさ――、…………」
恐らく誠のことをそう呼びかけて、架は声を詰まらせた。
「架。誠さんは、馨さんの分もお前を育てたかったんだ。嫌じゃなければ、そう呼んでやれ」
「………うん」
架は俯き気味に肯いた。
「……母さんも父さんも、美愛さんも……俺の所為で複雑にしちゃったんだね……」
「それは違う」
声にしたのは、真紅だった。