好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
架の父は、木野馨。母は、桜城弥生。子である架は――
「……やっぱり、俺は人間でしかないんだね?」
「………」
真紅は肯定せず、ただ架を見つめる。
やがて架の視線は、差し出された手に向いた。
架は一度立ち上がり、真紅の前に片膝をつく。
真紅の手をすくいとり、自分の額に近づけた。
「承知致しました」
「! あ、ありが――
「ただし、憶えておいてほしいことがあるんんだ」
「……なに?」
「俺たちが護るのは、主家の方々であって主家の法理ではない。そして、俺が頭を垂れたのは真紅ちゃん――あなただけだ。
俺が継ぐ桜城がお護りするのは、影小路真紅、あなたであることを忘れないでほしい」
家に仕えるのではなく、人に仕える。
架は、そう宣言した。
「―――うん」