好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
何回目のキスだろう。
何故か機嫌のいい黎に面喰いつつ、真紅はそろそろ自分がいる場所を思いだして来た。
「俺が逢いたくて来てるんだ。それは否定しないでくれ」
「う、うん――ごめん」
「ありがとう、のが嬉しいかな」
「あ、ありがとう……」
要望通りに言うと、黎は目を細めて微笑んだ。
でも、真紅の中では何か足りない。
言わなくちゃ。
「私も、黎に逢えるの、嬉しい」