好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
……しかし、反応がない。
「あ……お昼はいつも食べるところ決まってたりした?」
「あ、……いや、そんなことは……」
要領を得ない返事。真紅は迷惑だったかな……と少し不安に思ってしまう。
何かを言われる前にと、その背を押した。
「あ、ほら。もう行かなきゃでしょ? 私も学校行くから」
「あ、ああ……。気をつけてな」
真紅に言われて、黎は曖昧に肯いて、でも最後には微笑を見せて影小路の家を出た。
「塩を持ってきます!」
と、紅緒は台所へすっ飛んで行った。この叔母は……。
真紅と紅亜のため息が重なった。
――真紅は影小路の家に移ると同時に、私立の斎陵(せいりょう)学園へ転校した。