好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


「若君は御父君(ごふくん)の力を継いでおられる。が、その力はまだ眠っているんだ。

若君の中にあるのか、散り散りになった無涯御大(おんたい)に残っているのか……そこまではわからないけど」


「………」
 

無涯。黒藤の父の名だ。


「……お前はよく知ってるなあ」


「兄貴が家にいない所為で俺が跡継ぎ任務を押し付けられたからね」
 

たまに嫌味を忘れないのも弟だった。

< 128 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop