好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


「無涯、か……」


「ああ……その点は兄貴と若君は一緒なのか」
 

ふと、今思いついたように言う弟に、黎は無言を返した。


桜城から出ても、名乗れるのは小埜姓だ。


小埜は小路十二家の一つ。


黎が影小路の檻(おり)から出られるのは――出られたとしても、まだ先なのだろう。
 

しかし、恋うた真紅は反対に影小路に入り、そこの人間となった。

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