好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
(………だからって)
別れる気なんてない。
父は無理を押して母を連れて来たくらいだ。
最悪、自分も同じことをする。
その場合懸案(けんあん)になるのは、真紅の親友と紅亜の存在だ。
真紅をここから連れ出せば、海雨とも離してしまうことになる。
真紅は海雨を助けるために影小路に入ることを選んだのだ。
それを、恋人だからという理由で引き離せるわけがない。
海雨が――ずっと一緒にいた友達が――いなければ、黎が出逢った真紅もいないのだから。