好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


「架王子のお兄さん? ……私、あまり家関係のこと教えてもらえないから知らないなあ」
 

百合緋は小路や御門の人間ではなく、水旧(みなもと)という旧家の令嬢らしい。


「黎っていうんだけど、今は小路十二家の、小埜の人になったの」


「へーえ?」
 

百合緋がにやにやし出した。真紅は一瞬声が詰まる。百合緋はからかう人だったか……。


「百合姫、はしたないよ」
 

白桜が優しく諌める。


白桜は白桜で、百合緋を『百合姫』と呼ぶ。これは黒藤も一緒だ。


「白桜は知ってるの?」


「一応はね。小路に連なる人ではあるから、黒の方が詳しいけど」
 

見上げる百合緋に優しく返してから、「真紅」と呼びかけて来た。


「無炎から預かりものだ」

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