好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「あ、ありがとう白ちゃん。無炎さんにもお礼言っておいてね」
「? なんで無炎から真紅ちゃんに?」
首を傾げる百合緋。白桜から受け取ったのは一枚の料紙(りょうし)だった。
「真紅にはまだ式がいないからね。ちょっと無炎に調べてもらったんだ」
「ふーん。大変だねえ」
式、とは、妖異や精霊の類を自身の配下――使役(しえき)として契約したものを言う。
真紅はまだ陰陽師見習いもいいとこなので、式を得る段階まで行っていない。
紅緒は、「式は必ず要るものではないし、まあ、式にほしいと望むほどと出逢えるかも、タイミング次第だと思いますよ」と言っていた。
「でも、無炎さんがここの生徒やってるのには驚いたよ」