好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
実は無炎は、普通の人にも見ることの出来る人型――人の姿を取って、ここに生徒として紛れこんでいる。白桜のクラスメイトだったりする。
「いらんって言ったんだけど、天音が強硬でなー」
白桜は苦笑する。月御門別邸の家人は陰陽師としての力のない者で、三人とも白桜と近い年齢で昼間は学校だが、妖異の急襲とはいつあるかわからない。
本陣とも言える別邸が落とされてはまずいので、白桜留守の際には、別邸には常時天音が控えている。
白桜が学校に通うようになってから、天音か無炎、どちらかが傍にいると二人の間で勝手に決められていた。
神の末席に名を連ねていたほどの容姿が人目を引き過ぎる天音は却下され、無炎が同級生に変化(へんげ)して傍にいるようになった。
白桜はそこまでする必要はないと言ったのだが、二基とも受け入れなかった。