好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
天がさだめた運命すら変えてしまう始祖の転生。
その力を、真紅は自分に迎え入れることを決めた。
覚醒の前夜、真紅は月御門白桜を訪ねている。
黎が鬼人であり、自分には陰陽師以外に退鬼師の血が流れていると知って、黎を失いたくないがために、退鬼師としての、陰陽師としての力を捨てることを考えたのだ。
白桜は否定しなかった。つまり、真紅には選択肢があったのだ。
二度とその力を得られないことを承知で力を捨てるか、力を己のものとして別の道を探すか。
ことは、真紅が選ぶ前に起こった。
真紅は、真実は知らないが、一人の陰陽師の介入によって、真紅の力の目覚めと、真紅の力を封じた紅緒の目覚めの時間が早まったのだ。
それによって黎の命は助かったのだが。