好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
黎の中に流れる真紅の、退鬼師としての血は、鬼人であり吸血鬼の、『混ざりもの』の黎の、鬼としての血だけを退鬼した。
黎が混血だったことが幸いしたのだ。
鬼人は人間と鬼、両方の血を引いている。わずかでも、黎には『人間としての血』が流れていた。
それによって生きることが出来た。
黎が完全『鬼』でしかなかったら、黒藤が「変わった退鬼の方法だ」と笑ったこれは叶っていない。
黎と生きること。海雨を助けること。真紅は、それを選んだ。
「真紅ちゃん、そろそろ時間よー?」
「あっ、はーい」
真紅は新しい場所にいる。
違和感の全くない、だが、『真紅』にとっては新しい居場所。
「行ってきまーす!」
真紅が生きる場所は、真紅が決めた。