好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
社から醸し出された香りが変わっていたことに気づいたのは、真紅だけだ。
真紅より数段上の力を持つ白桜も黒藤も気づいていなかった。
つまり、その変化した香りは真紅だけに届くようにされていたのだろう。
ここの地神は、『始祖の転生』がどうしてそう呼ばれるのか、知っているのだろう。
だから、真紅を誘い出し警告を与えた。
「………」
真紅はただ、拳を握る。
(承知しております。あのようなこと、もうあってはならない)
真紅は、始祖が何を行ったかを、知っている。