好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
そして海雨の病状が若干ながら快方に向かっているのは、真紅が取り戻した力をコントロール出来るようになってきたからにほかならない。
海
雨に憑いていた妖異は、力を封じられていた頃の真紅の霊気にあたって滅ぼされた。
今はその妖異の残滓(ざんし)が海雨にまとわりついているため、病は完全に治っていない。
だが、真紅がそれを祓うことが出来れば、海雨の病気は治るだろうというのが、白桜と黒藤の見解だ。
海雨を傷つけないように、影響を与えないように、真紅は海雨に残った妖異の気配を滅している途中だった。
「……なんで目を逸らすの、架くん」
「………なんでだろう……」
今日も一緒にいる架は、何故か百合緋と海雨がベタベタしているのを見ていない。
明後日の方だ。
海雨の様子を見に来た白桜は、のんびりと一行を見守っている。
「賑やかだと思ったら、お前たちか」