好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「真紅? どうし――
「瞳! 銀色のまんまっ」
廊下の隅に引きずり込んで、小さな声で叫ぶ。
黎は「あ」と声をあげた。
「カラコン入れてないでしょ。それでここまで来ちゃったの?」
「あー、忘れてた。ずっと家にいたから」
黎の瞳は、純粋な吸血鬼の母譲りで、両方とも銀色をしている。
普段は、悪目立ちするから、と黒いカラコンを入れて隠しているのだ。
「危ないよ。ふつーの日本人にはない色なんだから」
「ん。助かった。ありがとな」
と、軽く身を屈めてキスをしてきた。
予想外の行動に真赤になる真紅を横目に、黎は満足げだった。