好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
9 紅姫
「ん?」
土曜日の朝。
新聞を取りに玄関まで出た真紅は、敷地の外――門の辺りに違和感を感じて覗いてみた。
「あ、猫?」
門の前には、三毛猫がうずくまっていた。
真紅は門を開けて、猫に近寄った。
車の通りの少ない道ではあるが、絶対に通らないわけではない。
寝ているのなら、起こしてやらないと危ない。
「猫さーん。そこいると轢かれちゃうよ―――」
と、三毛猫の傍にかがんだ真紅は、びっくりして言葉が消えてしまった。
「――ま、ママ! 紅緒様!」
真紅は反射的に猫を抱き上げて、家の中に飛び込んだ。