好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
2 月と影②
「大したもんだ。真紅のメンタルの強さ。俺だったらとうに折れてんだろうなー」
「転生の記憶が甦ってなお、正気でいる、か。……過去には耐えられなかった者がいるのか?」
「そりゃあ、小路の始祖は確認されているだけでも五人はいるからな。
影小路(俺たち)が把握していないだけで、生まれていた転生がいてもおかしくない。
始祖の転生のそのほとんどが当主になってきたとは言われるが、覚醒を得て心を壊した者もある。……過去の記憶に耐えきれなくてな」
いつも飄々(ひょうひょう)とした一つ年上の幼馴染を隣に見て、白桜は一度瞬いた。
たまに、黒い陰陽師――影小路黒藤は白桜のいる家を訪れる。
白桜を主とする、月御門家、東京の別邸だ。