好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「真紅ちゃん?」
「どうしたのです」
朝の早い人たちなので、身支度はもうすんでいる。
真紅は慌てて抱えている猫を見せた。
「家の前に倒れてたんだけど、赤ちゃんが生まれるみたいなの」
真紅が言うと、二人して三毛猫を覗き込んで来た。
三毛猫は大きなお腹で、荒く息をしている。
「産みますね……子猫が二匹視えます。姉様、清潔なタオルと、一応湯をわかしてください。真紅はこっちへ、お産になりますよ」
紅緒のてきぱきとした指示で、紅亜は台所へ、真紅は部屋の隅にタオルを敷いて、猫を寝かせた。
相当辛いのだろう、喉からひゅーひゅーと北風のような音をこぼしている。