好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「紅緒様、この子、大丈夫ですか?」
真紅は不安になって問う。
紅緒は真剣な顔つきで、真紅が抱いた三毛猫を見る。
「わかりません。ですが、見つかってよかった。猫の出産は基本、人間に手伝うことはありません。
全部が生まれず腹に残っていたり、産後の仔猫へのケアがない場合は手出ししますが、出来るだけうす暗く、綺麗な場所に置いて出産させるのがよいそうです。
茶室に置きましょう。簡易的な小屋を……段ボールか何かで作ります。持って行きますから、真紅は先に茶室へ行ってなさい。しずかに、ゆっくりと、ですよ」
紅緒に言われて、真紅は黙って肯いた。
庵の一番端に、四畳半ほどの茶室がある。
真紅が気を付けてゆっくり向かうと、すぐに慌てた様子の母が大量のタオルを持って来て、紅緒も大き目な箱を持って来た。