好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「真紅、あとは私たちに出来ることは見守ることだけです」
三毛猫から瞳を離さない真紅の肩に手を置いた。
そうは言われても、あんなに苦しそうで……真紅は足を半歩後ろに引いて、拳を握った。
「出来るだけ、静かにしてあげましょう」
「―――いえ」
諭すような紅緒に、真紅は否やを唱えた。
「聞こえてます。あの子、ここに居てって、言ってるように聞こえるんです」
言い切る真紅。驚きの意味でだろう、紅緒は大きく目を見開いた。
「私だけ、ここにいてもいいですか?」
言葉を重ねれば、紅緒は刹那思案するように口を結んだ。