好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「……真紅ちゃんが、そう望まれてるの?」
「わたくしには聞こえていません。真紅にしか願われなかった言葉なのでしょう。……今、わたくしたちに出来ることは、ただ待つことだけです」
「……大丈夫かしら」
「生死に触れなければ、人は生きていけません。生死に関わることを回避することは不可能です」
紅緒は陰陽師として、体術(たいじゅつ)やメンタルコントロールも得ている。
だが、姉はそういうのとは無縁に育った。
今は、紅緒がしっかりとしていなければ。
「黒藤でも呼びましょうか。真紅も、年が近い者がいた方がいいかもしれません」
紅緒の提案に、姉は「そうね」と答えた。