好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】



「白、急いだって生まれてるのかわかんねえよ?」


「だ、ね、こ!」


「うん、言いたいことはわかったから、とりあえず落ち着け」
 

上気した頬で意味不明の言葉を発する白桜に制止をかける黒藤。


一緒に歩いていた百合緋は、


(わかるんだ……)
 

と、少し呆れた。


「あー、白の猫好きは相変わらずか……。呼ばない方がよかったかな?」
 

独白する黒藤。


母・紅緒から、真紅が産気づいた猫を拾って来たから、黒藤も来たらどうか? と連絡があった。


猫とのことで、ちびの頃から猫好きな白桜に声をかけてみたら案の定乗って来た。


……だが、乗り過ぎだ。


今にも駆け出しそうな白桜を一応片手で押さえているが、ものすっごい力で進もうとしているので、黒藤は歩く必要もなくただ引きずられている格好だ。


(これが御門の当主とは……ちたあカッコがつかねえよな)

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