好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「白桜って猫、好きだったのね」
「あ、百合姫は知らないか?」
張り切って黒藤を引っ張る白桜を見てのぽつりとした言葉に、黒藤が反応した。
「あんたは知ってるってわけね……。でも、なら飼ってもいいのに」
「それがなー無理なんだよなー」
白桜に引きずられているから、黒藤はやけに間延びしている。
「なんで?」
「すぐわかるよ」
意味ありげな黒藤の返事だったが、庵に足を踏み入れた途端、百合緋もそれに気づいた。