好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「わ~っ、仔猫って初めて見るわ~っ」
「私も。ちゃんと面倒見るお母さんでよかったね」
百合緋たちが到着した頃には、三毛猫は二匹の仔猫を産んでいた。
戸棚の前に膝をついた真紅と百合緋が、並んで瞳をキラキラさせている。
今にも死にそうな息づかいだった三毛猫だが、今は落ち着いて、仔猫を舐めている。
「誰に教えられでもなく赤ちゃんのお世話出来るなんて、すごいことなんだね」
「ほんとね。でも、お母さん猫、美人さんね。仔猫たちも美形になる気がするわ」
「お母さん、顔立ちも毛並みも綺麗だよね。どっかで飼われてたのかな?」
「飼い猫なら、家で出産するんじゃない?」
「普通はそうだよね……。一応、飼い猫かどうか、探した方がいいかな?」
「それなら、涙雨が請け負おう」
言ったのは、黒藤だった。